「Cant!Cant!歌!」2Fl(AFl)&Pf
◆2006.4月15日(土) 19:00 開演
◆名曲喫茶・ミニヨン
2ヶ月ぶりの登場となる解説の大竹さん。いつもの事ながら打ち合わせ一切無しでのやりとりは楽しい。我々も長年の付き合いで要領は得ている。すると、大竹さんは益々調子を上げて来るのであった。

*ISO 1600
プログラムは以下の通り。
・ブラームス:Johannes Brahms
(1833.5.7ドイツ・ハンブルク〜1897.4.3オーストリア・ウイーン[64歳])
−8つのジプシーの歌 Op.103(Fl,Pf)
(ハンガリー語の民謡をコンラートが編纂・ドイツ語訳 1887年出版。当初、ブラームスが独唱Sp.Ar.Tr.Bs、伴奏Pf.のための重唱曲集「11のジプシーの歌 Op.103」として出版。それより最初の7曲と最後の曲を選んで独唱用に編曲したもの)
・リスト:Ferenc Liszt
(1811.10.22ハンガリー・ライディング[現在はオーストリア]〜1886.7.31ドイツ・バイロイト[74歳])
−ペトラルカの3つのソネット s.270 より
(1838-9年作曲、詩:ペトラルカ[Francesco Petrarca 1304-74])
・第2曲「祝福あれ、あの日、あの月、あの年に」(第47番)(Fl,Pf)
・第3曲「地上の天使のような姿」(第123番)(Fl,Pf)
・シューベルト=ベーム編曲:Franz Schubert=Theobald Boehm
(シューベルト:1797.1.31 オーストリア・ウイーン〜1828.11.19ウイーン[31歳] ベーム:1794-1881[87歳])
−歌曲「白鳥の歌(辞世の句)」より(1828年出版)
・第10曲:漁師の娘(AFl,Pf)
・第12曲:海辺にて(AFl,Pf)
・第3曲:セレナーデ(AFl,Pf)
−−−−−−−−−− T e a T i m e −−−−−−−−−−
・パーセル=ブリテン編曲:Henry Purcell=Benjamin Britten
(パーセル:1659-1695.11.21イギリス・ウエストミンスター[36歳] ブリテン:1913.11.22-1976.12.4[63歳])
−トランペットよ鳴り響け(独唱、合唱曲、弦楽器、通奏低音のためのジェームズ二世歓迎歌[1687年]、2Fl,Pf)
−可哀想な女に何が出来るでしょう?(2Fl,Pf)
−羊飼いよ、悪だくみはお止しなさい(セミオペラ「アーサー王」より[1691年]、2Fl,Pf)
・コルネリウス:Carl August Peter Cornelius
(1824.12.24ドイツ・マインツ〜1874.10.26マインツ[49歳])
−「四つの二重奏曲」Op.16
・灼熱の恋 Op.16-2(詩:ベッカー、2Fl,Pf)
・メンデルスゾーン(1809.2.3-1847.11.4):Felix Mendelssohn-Bartholdy
(1809.2.3ドイツ、ハンブルク〜1847.11.4 ライプツィヒ[38歳])
−渡り鳥の別れの歌 Op.63-2(詩:ファーレルスレーベン、2Fl,Pf)
・シューマン:Robrert Schumann
(1810.6.8ドイツ・ツヴィカウ〜1856.7.29エンデニヒ[ボン郊外] [46歳])
−「ミンネシュピール(愛の調べ)」Op.101より [1849年作曲]
・第3曲私は貴女の樹、おお庭師よ Op.101-3(詩:リュッケルト、2Fl,Pf)
−ソプラノとテノールのための四つの二重唱曲 Op.78より(1849年作曲)
・第2曲:彼と彼女 Op.78-2(詩:ケルナー、2Fl,Pf)
−三つの二声歌曲 Op.43(1840年作曲、後に歌劇「ゲノフェーファ」Op.81[1847-9]に用いられた)
・第3曲:美しい花 Op.43-3(詩:ライニック、2Fl,Pf)
・ロッシーニ(1792.2.29-1868.11.13):
(1792.2.29イタリア・ペーザロ〜1868.11.13フランス・パリ郊外パシー[76 歳])
−「音楽の夜会」より(1830-5年作曲)
・第2部第4曲:ヴェネツィアの競艇 Op.9-35(2Fl,Pf)
アンコールは「口笛吹きと犬」(近藤盟子・編曲、隠しテーマ:桃太郎)でした。
そもそも、今回の企画を思い立った発端はある声楽の演奏会に足を運んだ事に依る。プログラムの1曲にリストの「ペトラルカの3つのソネット」があり感激してしまったのだ。リストの有名なピアノ作品群はちょっと苦手で敬遠してしまいがちな作曲家だったのだが、ペトラルカだけは違っていた。よく晴れた、しかし霧の濃い、しかも光も多い原生林の中から草原を見渡したような、内的でいて光を目指し、一見暗いかの様だが希望に満ちあふれた旋律に身震いさせられてしまった。勿論、これは歌唱力に依るものだが、作品の素晴らしさも体感できたのである。その魅力的な旋律は、フルートの豊かな、しかし、ダークではない軟らかい音色の為にあるのではないかと思わされるほどの資質を感じた。今回取り上げた2曲はフルートでの語りに極めて親和性がある。まさに声のようにたっぷりと歌い上げるその演奏は恍惚とする。何を隠そう、一番喜んでいるのは演奏者の私自身なのかも知れない。
ドイツロマン派といえば、私の大好きなブラームスがいる。ブラームスを一言で(二言で?)表せば「フラット(♭)と三連符の達人」だと言える。名曲にフラット系のの調性が多い。4つある交響曲も2つはフラット系(c-mollとF-dur)だし、2曲の有名なピアノ協奏曲も共にフラット系(d-mollとB-dur)だ。考えてみれば、ベートーヴェンの9つある交響曲のうち6曲もフラット系の調性だし(3、4、5、6、8、9番)、シューマンの1番「春」や4番もフラット系だ。移調楽器への配慮もあるのかも知れないが、ドイツロマン派の特徴なのかも知れない。フルートにとってフラット系の調性はシャープ系の調性より得意だ。これはブリッチャルディ・キーの恩恵に依るものだ。また、ブラームスにおいては必ずと言ってよいほど核心部分に三連譜が出てくる。ブラームスほど三連符を巧みに使っている作曲家はいないと思っている。「8つのジプシーの歌」では独奏部分に三連譜は少ないが伴奏部分にはやはりたくさん使われている。また、ブラームスは弟子が作品を持ってきたとき、高音声部を隠しバスラインだけでまずは作品の判定をしたと伝えられているが、ブラームス作品のバスラインの素晴らしさはその言い伝えを裏付ける物となっている。声楽曲であるから独奏部分に細かい動きは少ないのだが、その分豊かなバスラインの響き、細やかではあるが雄大な響きをかもし出す三連符に乗って演奏するのは誠に心地よい。

*DSC-R1(AFl)
現在のフルートのメカニズムの基礎を築いたベーム編曲によるシューベルトの有名な歌曲3つをアルトフルートで演奏した。本日唯一フルートの為の編曲作品だが、最初からアルトフルート用に編纂されている。このアレンジから察するベームの性格は、目立ちたがり屋で自己顕示欲の強い人。そう思わせるほど、シューベルトの美しく可憐な歌曲をヴィルトゥオーゾな作品へと変貌させている。そもそもアルトフルートのためのソロは少なく、有ったとしても馴染みにくかったりあまりに簡素だったりすることが多く、この有名な親しみのある旋律でアルトフルートを大活躍させるのも悪くない。

*DSC-R1
休憩を挟んで、今度はピアノ伴奏付フルートデュオの演奏だ。
パーセルといえばイギリスバロックの大家であり、その作品を20世紀イギリスの巨頭ブリテンがアレンジした。バロックの響きの中にモダーンな薫りがするのはそのためだが、有名な「青少年の為の管弦楽入門」というオーケストラの為の変奏曲の主題としてパーセルの旋律を使いっていることからしても、ブリテンはパーセルが好きなのであろう。軽快で明朗な旋律は楽しい。
コルネリウスの「灼熱の恋」の後にメンデルスゾーンの「渡り鳥の別れの歌」というプログラミングは一部でウケた。何せ、熱い熱い恋の後に別れだもんなあ。。。旋律は美しく優しく、アンサンブル初心者にもお勧めだ。
本日後半の(私的な)ハイライトはシューマンの3曲だ。特に「彼と彼女」でも素敵な詩が付いているのだが、それに負けない叙情的な甘い旋律が泣かせる。フルートの技術的な見地からは、大して難しいわけではなく、発表会等で大いに取り上げて欲しいと思っている。夏の合宿で誰かに勧めようとも考えているほどだ。以下に「彼と彼女」の訳詞を記しておく。
「彼と彼女」 ケルナー詩
陽の光を浴びて
数知れぬ花が咲き誇っている
静かな谷間を眺めるとき
僕が見つめるのはただ一つのものだ
星がまたたきそめる頃に
僕が窓辺に歩み寄るとき
ものみなが一層美しく見えようとも
僕が見つめるのはただ一つのものだ
ああ、あの人の青い瞳は
いままた牧場でも見ひらかれている
しとどの露に濡れたわすれな草の花に
僕はその瞳を見る思いをする
夕べになると、彼はあそこで
やさしく大空をふり仰ぐ
大空にきらめく星の中に
愛らしい姿が見えるものだから
最後にロッシーニ。抜きつ抜かれつの様子が手に取るように感じられる作品。生き生きとした動き、水しぶきの描写が巧みだ。周りに集まる人々の歓声も聞こえてきそう。本日の一番人気。楽しく快活で、聞いた人は必ず自分で演奏してみたくなるに違いない。
アンコールの隠しテーマの正解率は約50%。ヤマを張って見事的中させた強者もいたが、聞いた事があるようでタイトルを思い出せなく地団駄を踏んだ人が続出。ピアニストの近藤さんもテクニックが上達しているようだ。次は当てられるか?チャレンジャーを俟つ。
*追伸(アンケートより)
「音色が美しくて感動して 久しぶりに涙が出ました」という感動的なコメントを頂きました。
<本日のコラム>−−−−−−−−−−−−−−−
・フルート・コミュニケーション Vol.118
■探検■
男の子なら誰でも”探検”の経験があるだろう。土手の斜面に掘られた不明の洞穴。そんな大袈裟な物でなくても、知らぬ小道や丘(子供の目には山に思えた)を歩いてみたり。峡谷を歩けば獣道は無数にあるし洞穴も多数ある。怖いながらもドキドキしたものだ。
それは大人になっても続く。学生時代、真夜中車に男女4人乗り込み富士山麓の風穴に行ったことがあった。昼間ドライブで来たことがあっても夜中は初めてである。星明かりもない曇りの夜、そこはまさに暗黒の地。何もないと分かっていても怖くてしょうがないのが本音だった。でも、このドキドキが快感なのである。
それらの感情は、”廃れたもの”に対するノスタルジーや、いわゆる怖いもの見たさと言ったある意味幼児性なのであるが、大人になっても消えることはない。鉄道が好きな私はレールを見ているだけでも飽きないし、廃線があれば自分の足で歩いてみたい衝動に駆られる。山岳部に行けばよく目にする鉄塔も、長く垂れた電線の先に見知らぬ土地に対する思いを馳せる。
自分は結構特殊な趣味を秘めているのかな、と、最近までは思っていた。ところが。世の中にはスゴイ人達がいる。藪で覆われた廃道を、山奥の廃隧道を、廃れたもの全てを探索・走破する”廃”愛好家がいるのだ。それも大勢。彼らの多くはWebサイトを持っており寝不足を助長する。それらは、私のあこがれの対象だ。
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*DSC-R1

今回の公演で活躍?したカメラ達。ソニーの最新鋭機 DSC-R1 とCONTAX(+Carl Zeiss 30mm F=1.4)のとなりに HOLGA 120N が並んでいるのが”ぷ”な状態ではある。セオリー通りテープまで張って。人に頼んでゲネプロの様子をHOLGA+外部ストロボで撮影して貰った。出来上がりは後日。CONTAXのファインダーの明るさとフォーカスの合わせやすさに驚嘆。



















