「女性作曲家へのいざない」Fl&Pf
◆2006.3月21日(土) 19:00 開演
◆名曲喫茶・ミニヨン

プログラムは以下の通り。
●アンナ・アマリア・フォン・プロイセン:Anna Amalia von Preussen
(1723.11.9ドイツ・ベルリン〜1787.3.30ベルリン[54歳])
−フルートと通奏低音のためのソナタ ヘ長調
●リリ・ブーランジェ:Lili Boulanger
(1893.8.21 フランス・パリ〜1918.3.15 パリ[24歳])
−ノクターン
(1911年作曲、1918年Ricordiより出版。原曲:Vln,Pf)
●ジェルメーヌ・タイユフェール:Germaine Tailleferre
(1892.4.19 パリ郊外、サン・モー・デ・フォッセ〜1983.11.7 パリ[91歳])
−フルートとピアノのための「フォルラーヌ」(1972)
●クララ・シューマン:Clara Schumann
(1819.9.13 ドイツ・ライプツィッヒ〜1896.5.20 フランクフルト[76歳])
−3つのロマンス Op.22
(1853年[34歳]作曲、1855-56年出版。原曲:Vln,Pf)
●メル・ボニ:Mel (Melanie) Bonis
(1858.1.21 フランス・パリ〜1937.3.18 サルセル[79歳])
−フルートとピアノのためのソナタ 嬰ハ短調(1904)
●セシル・シャミナード:Cecile Chaminade (Cecille Louise Stephanie Chaminade)
(1857.8.8 フランス・パリ〜1944.4.18 モンテカルロ[86歳])
−小協奏曲 ニ長調 Op.107(1905)
アンコールは、「フランダースの犬」(近藤盟子・編曲、隠しテーマ:花咲じいさん) でした。
本日の演目は全て女性作曲家によるものである。最初この企画を立てたときは、記録としては残っているものの、全て楽譜が出版されているわけではなく入手に手間取った。手に入った楽譜のうち、全体的なプログラムの流れや、演奏会で同時に取り上げて違和感のない作品を選んでいったわけだが、どういうわけか女性らしいと言われればそのように感じる、愁いを帯びた作品が並ぶこととなった。結果的には好評だったのでホッとしているところだ。
女性作曲家というと、先ず思い浮かべるのは本日も取り上げたクララ・シューマンとシャミナーデ、メンデルスゾーンの姉のファニー・メンデルスゾーン、フルート吹きならケシック(Marlaena Kessick)などもご存じだろう。女性の作曲家は少ないように思う方もいるかも知れないが、現代ならともかく、本日のお話し・矢口先生によれば、過去には他の分野と同様女性だということで抑圧されていた時期もあったらしい。そうかも知れぬ。ハチャトゥリアンの奥さんも作曲家だったとか、結構たくさんいるとのこと。現在、残念ながら楽譜があまり出版されていないが、出版される事を祈るとしよう。
アンナ・アマリア・フォン・プロイセンはプロイセン国王・フリードリヒ2世(俗に言う、フリードリヒ大王)の妹。作風はバロックそのものだが、兄の大王同様クヴァンツの指導があったのかも知れない。3楽章形式の明るい響きのソナタ。
本日の憂い第一弾、ブーランジェは神童としてもてはやされたようだが病弱で24歳という短命でこの世を去っている。亡くなる間際は、病身をなげうって第一次世界大戦の従軍兵をサポートするために看護婦として働いていたということだ。「ノクターン」の原曲はヴァイオリンとピアノだが、”フルートの曲”として持ち曲に加えたい一曲。
憂い第2弾、タイユフェールは「フランス6人組」の一人。この手のグループは大抵の場合現体制への反発や、既存の価値観にとらわれない新しい芸術表現の提言などを趣旨としているものだが、タイユフェール自身も数々の武勇伝があるらしい。「フォルラーヌ」はごく短いフルートのためのオリジナル作品だが、武勇伝とは反して優しく美しい小品となっている。短い曲だが休符がほとんど無い吹きっぱなしの曲で、ブーランジェのノクターンが外向的だとすれば、タイユフェールのフォルラーヌは内向的な美しさで、演奏に案外苦労する。
前半最後の演目、クララ・シューマンの「3つのロマンス」は、夫・ロベルトを思わせる響きを持っている。クララが似たのかロベルトが似たのかは不明。これぞロマン派、という響きは心地よく、泣けてくる旋律は、日本人に好まれるのがよく分かる。技術的に(吹くだけなら)そう困難ではないので、発表会等で如何だろう。
今回の企画での最大の収穫は、ボニのソナタを知ったことであろう。憂い、軽快、壮大、を兼ね備えた素晴らしい作品。ラウバーのグランド・ソナタと同様の感性を感じる部分がある。1楽章の、きらきら輝くピアノの響きに乗せてフルートがオブリガートを演奏する場面など、月明かりに輝いた静かな海のようだ。とにかく、一度吹いてすっかり気に入ってしまった。相当惚れ込んでしまった。皆さんにも是非是非お勧めしたい。
最後に有名なシャミナードの小協奏曲(コンチェルティーノ)。かのモイーズをはじめとして、特にフランスで学んだ方達の中には、この曲を速めのテンポで演奏すすることに否定的な意見を持つ場合が多いようだが(イベールの協奏曲同様)、私はそうは思わない。何故なら、曲が速く演奏させているのであり、そのような要素がふんだんに含まれているからだ。憂いのある部分ではたっぷりと歌い込み、速い部分を強調することで表現のコントラストも深さを増すと思っている。ブーランジェ同様、第1次世界大戦で看護婦として奉仕し、事故から足を切断せざるを得なかったと伝えられている。
本日の特別コメンテーター・矢口先生(下の画像)は、ご専門は英語史だが音楽に造詣が深く誰も知らないような作曲家の作品もご存じという恐ろしい方だ。 無名名曲鑑賞会 という本を共同執筆されており、ミニヨンでも同名のタイトルで2回ほど演奏会を持った(Vol.83とVol.92→参照)。CDも五千枚近く所有されているそうだが、珍しい曲を求めて可能な限り演奏会に足をお運びになる。ソロイスツの演奏会では、ひょっとして初演?などという珍しい曲を多く取り上げて来たことから、矢口先生に巡り会ったというわけだ。確か、ミニヨンで初めてお会いした時、”絶対”に誰も知らないだろうと思って演奏した曲を、「あの曲良い曲ですね、好きな曲なんです」とさらりと言われ、結構ショックだった記憶がある。日本ブラームス協会 のメンバーでもある。

*SONY DSC-R1
なお、1枚目の画像は、ミニヨンに飾られていた花束。
あ、忘れてた。打ち上げでのショット。
<本日のコラム>
・フルート・コミュニケーション Vol.117
■夢想■
温泉大好き。
とてもリラックスできるし体調もよくなる。先日、何とか1日スケジュールを空けて日帰り入浴に行ってきた(日帰り、というところが悲しいが)。
ゆっくり湯船に浸かると面倒くさいことはすっかり忘れ夢の世界だ。皆さんはこういう時何をお考えだろうか。頭は空っぽ、と言っても必ず何か考えているものだ。私の場合は、自分がスーパーマンとなる類の夢想だ。スーパーマンと言っても、空を飛べるようになりたいとかではなく、もっと現実的なことだ(大人だからして)。
ある日突然、どんな難曲だろうと初見で吹けてしまう。リーバーマンだろうが武満だろうがお構いなし。苦労が無くてきっと面白くない、と思う人もいるだろうが、そんなことはない、楽できる程良いものはない。私を負かしてやろうとどんどん難曲が集まる。でも、平気平気。ザマミロ。
楽器編ではもう一つ、夢にショパンが出てきて「アナタはピアノが上手くなる〜、上手くなる〜」とお告げがあり、目が覚めると何でも弾けている(実際に藤井一興さんにはあったそうな)というもの。ミニヨンの演奏会で突然「革命」なんか弾き始めたらみんなビックリするだろうな。その時の反応を考えるだけでも楽しい。
えーーっと、それから、豪邸に住む、高級車に乗る、高級時計を身につける、カメラのレンズも欲しい、、、あれ?
(ま)



















